こんにちは、獣医師の本田です。
今回はこの時期増えるマダニによって媒介されるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)について。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは、現時点で特効薬となるものはなく、発症した場合の死亡率が高い病気です。
個人的には日本の医療レベルをもってしても、死亡率が20%にのぼる感染症は非常に恐ろしいものだと感じています。
SFTSは、SFTSウイルスを有するマダニに咬まれることで感染します(①)。
また、SFTSウイルスを有するマダニに感染した犬や猫からも感染します(②)。
一方、空気伝播はしないので、人から人へは濃厚接触によって感染します。ですので家族間や医療従事者は注意が必要となります。
猫では発症して5日ほどで死亡することが多く、反対に犬でははっきりとした症状を出さないまま経過することが多いようです。
1匹の成ダニが数千の卵を産むため、SFTSを持ったマダニからは数千匹ものSFTS保有ダニが産まれます。
犬はSFTSにより重篤な病気を起こさないことが多いと言われていますが、
それがゆえに知らない間に犬の周りでSFTSを保有したマダニを増やしてしまう可能性があることから、
人を感染から守るためにも、犬のマダニ対策は必須です。
繰り返しになりますが、SFTSは、SFTSウイルスがマダニに感染→マダニが動物に寄生することで感染しますので、
すなわち人を含めてほぼ全動物種が感染する疾患となります。
ですが、すべてのマダニがSFTSウイルスを保有しているわけではないので、マダニに咬まれた=SFTSを発症する、というわけではありません。
とはいえ、特効薬がなく、また死亡率が高い病気ですので感染予防はとても大切となります
<<SFTSを予防するには…>>
①マダニに咬まれない
SFTSだけでなく、つつが虫病や日本紅斑熱など、ダニが媒介する他の疾患の予防のためにも有効です
②犬猫のマダニ予防
マダニの生息数の増える春~秋は確実に!
冬の寒い時期にもSFTS患者の発生はあります。→マダニの薬は一年中必要です!
③野生動物との接触を避ける
野生動物によってウイルス保有ダニが運ばれます。
(アライグマ、タヌキ、ハクビシン、シカ、イタチ、鳥など)
感染動物の糞便中にもウイルスが出ている可能性があります。
はな動物病院 獣医師 本田
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